5月11〜17日に開催される2026年第108回全米プロゴルフ選手権の会場、米ペンシルベニア州アロニミンク・ゴルフクラブが、本番3週間前の最終準備段階に突入。テレビタワー、5万平方フィート(約4,645㎡)のPGAショップ、グランドスタンドなど1週間で20万人を迎える臨時施設が完成間近となっている。同コースは1928年にスコットランド人設計家ドナルド・ロスが手掛けた名作で、1962年のPGA選手権以来64年ぶりのメジャー復活。改修によって「飛距離が出るプロほど不利」になる仕掛けが組み込まれており、シェフラー、マキロイら世界トップ100の威信を懸けた4日間が始まる。
大会基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会名 | 第108回 全米プロゴルフ選手権(PGA Championship 2026) |
| 開催日 | 2026年5月11日(月)〜17日(日)/本戦4日間 5/14〜17 |
| 会場 | アロニミンクゴルフクラブ(米ペンシルベニア州ニュータウンスクエア) |
| 設計 | ドナルド・ロス(1928年原設計、Gil Hanseが2003年に復元改修) |
| パー/ヤード | パー70 / 7,267ヤード(推定) |
| 本戦出場 | 156名予定(特別出場枠含む) |
| 来場予測 | 1週間で20万人超 |
| 賞金総額 | 1,800万ドル超見込み |
ドナルド・ロス——“米国近代ゴルフ建築の父”の傑作
アロニミンクは、スコットランド・ドーノック生まれのドナルド・ロスが米国移住後に設計した代表作の1つ。1928年に開場した時点で、なだらかな起伏を活かした「クラウン・グリーン」(縁が落ち込み高く膨らんだグリーン)と、フェアウェイの細さでベテランプレーヤーに挑戦を強いた。
近年、ロス設計の建築哲学を蘇らせる復元改修を著名コース建築家ギル・ハンセが約10年前に手がけ、本来のロス・レイアウトを取り戻した。今回の全米プロに向けても、ティーボックス後退・フェアウェイ幅員調整・グリーンスピード加速・荒々しいラフの追加調整が施されている。
20万人観戦インフラ——“フィラデルフィアの祝祭”
全米プロ運営本部によれば、本番1週間で見込まれる来場者数は20万人超。クラブハウス周辺には、グランドスタンド、20以上のテレビタワー、テントはカーペット張り+ガラス壁仕様で、100人以上の建設作業員が日々設営にあたる。フィラデルフィア市・デラウェア郡・ペンシルベニア州にとって、来場者の宿泊・飲食・観光消費による経済波及効果は1.5億ドル超と試算されている。
主要施設の規模
- PGAショップ:約4,645㎡(5万平方フィート) — 全米プロ史上最大級
- テレビタワー:20以上 — CBS、ESPN、Sky Sports用に複数設置
- テント/ホスピタリティ施設:100張以上、ガラス壁・冷暖房完備
- 仮設駐車場:選手用+シャトル2拠点
- 仮設グランドスタンド:18番グリーン周辺に8,000席超
1962年のメジャー以来——“歴史のリセット”
アロニミンクGCは1962年に1度だけ全米プロを開催した過去がある。当時の覇者はゲイリー・プレーヤー(南アフリカ)で、64年の時を経て同コースが現代ツアー最高峰のステージに復帰する。米Vista Todayは「ペンシルベニア州にとって、これは1990年のオークモントの全米オープン以来の“スーパーメジャー”だ」と評している。
選手にとっての“鬼門”——3つの注意点
① クラウン・グリーンのアプローチ
ロス設計の象徴である丸く隆起したグリーンは、エッジに乗ったボールが急激にこぼれ落ちる構造。アプローチは「乗せても止まらない」「外しても寄せられない」ジレンマを生む。シェフラーは「アロニミンクは特に2打目の戦略が試される」とコメント。
② 細い松林フェアウェイ
飛ばし屋のデシャンボー・ヤング・ローラーら長距離ヒッターには、ティーショットの14クラブ選択が問われる。ストレートヒッターのフィッツパトリック、ヘンリー、シェフラーが優位とされる。
③ 平均風速10mphの北西風
5月のフィラデルフィア郊外は、朝晩で気温・風向の変化が激しい。早朝ティーオフ組と午後組のスコア差が3〜4ストロークになる予報。
“フィラデルフィアの夢”——歴史的瞬間へ
1962年プレーヤーの優勝以来、64年ぶりにメジャーを開催するアロニミンクは、地元ファンにとって特別な意味を持つ。タイガー・ウッズとフィル・ミケルソンの2大スター不在のメジャーとなるが、マキロイの“今季2つ目のメジャー”挑戦、シェフラーの王朝再構築、フィッツパトリック・松山英樹の世代台頭——3つのドラマが入り乱れる4日間に注目したい。