元世界ランキング1位、メジャー3勝を誇るジョーダン・スピース(32)が長いトンネルにはまっている。2022年4月のRBCヘリテージ以来、PGAツアーで白星から遠ざかること4年超。全米オープンの10年免除も失効したいま、マイアミのブルーモンスターで再起を懸ける。

マジョー3勝の男が陥った「無勝利の沼」

2013年のプロデビューから急成長し、2015年に全米オープン・マスターズ・全英オープンとメジャー3冠を達成。23歳で世界ランク1位に輝いたジョーダン・スピース。あの輝きはどこへ行ったのか——PGAツアーの世界に、そんな問いが漂い続けている。

スピースが最後にPGAツアーで優勝したのは2022年4月、RBCヘリテージ(サウスカロライナ州ヒルトンヘッド)だ。以来、2026年シーズンを迎えても白星はなく、ついに4年以上が経過した。最近3試合の成績はT62、T12、T33と、コンテンダー圏内には入れているものの、決め手を欠く状態が続く。

スピースの最近の成績(2026年)
直近3試合:T62位 → T12位 → T33位
最後の優勝:2022年4月 RBCヘリテージ
無勝利期間:4年以上(2022年4月〜現在)

全米オープン10年免除の失効——高まるプレッシャー

スピースに追い打ちをかけるのが、2015年全米オープン優勝で得た10年間の出場免除の失効だ。2025年シーズンをもって権利が切れたことで、今後はツアーカードや世界ランキングを通じた出場資格を維持しなければならない局面に立たされている。

「自分のスウィングがどこにあるかは分かっている。あとは試合でそれを出し切るだけだ」——スピースは今季のプレスカンファレンスでそう語った。オフシーズンから取り組んできたスウィング改造が実りつつあるという自信をのぞかせる一方、それが試合本番で結果に結びついていないもどかしさも透けて見える。

練習場で190球——誰よりも長くレンジに立った火曜日

今大会の開幕前、カデラック選手権の会場トランプ・ナショナル・ドラールで行われた練習ラウンド。火曜日の練習セッションで、スピースは190球を打ち込んだ——これは全出場選手の中で最多だ。その内訳は0〜149ヤードが36%、150〜249ヤードが43%、250ヤード以上が21%。全番手をまんべんなく打ち込む徹底ぶりからは、この試合にかける並々ならぬ決意が伝わる。

カデラック選手権2026 スコッティ・シェフラー(世界ランク1位)(Photo: Golf Digest)
カデラック選手権2026 スコッティ・シェフラーを筆頭に強力な顔ぶれが揃った(Photo: Golf Digest)

ドラールのコース相性は「3番手」——反転攻勢への布石

スピースには一つの強みがある。コース相性だ。2015年以来のドラール(当時のWGCカデラック)でのストロークゲイン実績を調べると、スピースはフィールド72人中3位につけている。1位はアダム・スコット、2位はリッキー・ファウラー——いずれも「往年のドラール巧者」として知られる顔ぶれだ。

今大会はマキロイ、シェフラー、シャウフェレ、ルートビック・オーベアといったトップ選手が欠場または不参加のため、フィールドのバランスは例年より一段スピースに有利に傾く。「自分が最高のゴルフを出せれば、必ず戦えるコースだ」——かつてドラールで好成績を残したスピースが、そのポテンシャルをいま呼び覚ませるかが焦点となる。

ジャスティン・トーマスとの「黄金コンビ」で初日に挑む

開幕ラウンドのペアリングも話題を呼んでいる。スピースのパートナーはジャスティン・トーマスだ。PGAツアーいわく「生涯を通じてこれほど一緒にプレーしてきたコンビは他にいない」とされる2人。幼なじみ同士の気心知れたペアは、プレッシャーのかかる試合でも互いを支え合うことで知られる。

一方のトーマスも直近3試合がT30、T41、T77と低迷中。2人は揃って復活を狙う立場で今週のドラールに挑む。ファンにとっては、この人気コンビが2024年以前のような輝きを取り戻す姿を見たい気持ちが強い。

歴史が証明する「遅い復活」の可能性

PGAツアーの歴史を振り返れば、長い無勝利の末に復活した選手は数知れない。タイガー・ウッズは2008年の全米オープン後に手術と離婚の嵐に見舞われ、次の優勝まで4年以上を要した。アダム・スコットは2016年のドラールを最後に低迷し、それでもツアー在籍を続けて今もなおカデラック選手権でプレーしている(現在45歳)。

スピースは32歳。体力面での衰えはなく、スウィングメカニクスの問題が解決すれば一気に噴き出す可能性を誰もが信じている。「彼はまだ若い。きっかけ一つで爆発的に復活してくる」とPGAツアーの解説者たちは口をそろえる。

カデラック選手権2026 注目選手と見どころ

選手名オッズ(目安)注目ポイント
スコッティ・シェフラー+290(本命)世界1位、今季2勝。ドラール初出場
キャメロン・ヤング+1200長打力はドラール向き、上位常連
コリン・モリカワ+2200アイアン精度は世界最高水準
松山英樹+3300アプローチ好調、コース経験あり
ジョーダン・スピース+3300コース相性3位、ドラール巧者
アダム・スコット+400045歳、ドラール最高コース相性

まとめ——4年越しの「バーディ」を待ちわびるファンへ

カデラック選手権2026はきょう4月30日(木)から開幕。スピースのティーオフ時刻は日本時間午前3時10分予定。ジャスティン・トーマスと2人で、ブルーモンスターのフェアウェイに立つ。

4年間の沈黙を破る1打——それはこのコースから生まれるかもしれない。ドラールの青い怪物が、かつての王者の眠りを覚ます夜を、世界中のゴルフファンが固唾をのんで待っている。