パッティングの距離感はスコアを最も大きく動かす技術(写真:Wikimedia Commons)
まず、3パットがなぜ起きるのかを整理しましょう。
多くの人は「カップに入れる方向(ライン)」を外したから3パットになると思いがちです。
でも実際は違います。
パッティングには「方向」と「距離」の2つの要素があります。
このうち、3パットに直結するのは圧倒的に距離(タッチ)のミスです。
たとえば10mのファーストパットを打ったとき、
ラインが少々ズレても、距離さえ合っていればカップ周り半径50cmに止まり、残りは短い2パット目で沈みます。
逆に方向がドンピシャでも、距離が2m以上オーバー/ショートすれば、そこから入る確率はぐっと下がり、3パットに転落します。
図解:距離が合えば「方向のズレ」は2パットで済む
「入れる」より「半径50cmに止める」を狙うのが3パット撲滅の発想
だから3パットをなくす第一歩は、「入れにいく」発想から「寄せる(半径50cmに止める)」発想への切り替えです。
そのために必要なのが、これから解説する距離感(タッチ)なんです。
具体的な練習に入る前に、まず頭に入れてほしい原則が3つあります。
この3つを意識するだけで、同じ練習量でも効果がまったく変わります。
ロングパットを無理に入れにいくと、距離が暴れて寄せワン圏を外します。
狙いはカップ周り半径50cmの円。ここに止まれば、次は誰でも入る距離になります。
どれだけ寄せても、最後の1mを外したら3パットです。
1mは練習で「入って当たり前」にできる距離。ここに自信があると、ロングパットも強気で寄せられます。
「ちょっと強め」「少し弱め」という感覚調整は、緊張すると一番先に狂います。
振り幅という目で見える基準で距離を管理すれば、本番でも再現できます。
「入れる」より「半径50cmに止める」意識が3パットを減らす(写真:Wikimedia Commons)
業界人Kの視点
ワシが長年いろんなアマチュアを見てきて思うのはな、3パットする人ほど「カップにねじ込もう」とするんよ。気持ちは分かるけど、ロングパットを入れる確率なんてプロでも1割ちょっとや。それより半径50cmに止める技術を磨いた方が、絶対にスコアが縮む。プロが2パットで淡々と上がっていくのは、入れにいってるからやのうて「寄ってるから入る」だけやねん。発想を「寄せる」に変えるだけで、明日からでも3パットは減るで。練習する前に、まずこの考え方を腹に落としてほしいわ。
距離感の正体は、感覚やのうて「振り幅と転がる距離の対応表」です。
これを自分の中に持っているかどうかで、パッティングの安定感はまったく変わります。
作り方はシンプル。テークバックの大きさを「足」を基準に3段階決めるだけです。
図解:足を基準にした3段階の振り幅
※距離はグリーンスピードで変わる。数字は「自分の基準」を作るための例
| 振り幅(テークバック) | 目安の転がり | 使いどころ |
|---|---|---|
| 小:右足の内側まで | 約2〜3m | 短い上り・寄せ |
| 中:右足のつま先まで | 約5〜6m | 中距離の基準 |
| 大:つま先から靴一足分外 | 約8〜9m | ロングパット |
大事なのは、どの振り幅でも「テンポ(リズム)」は同じにすること。
1mでも10mでも、振り子のテンポは一定。距離が長いぶん振り幅を大きくし、その分ヘッドのスピードが自然に上がる、というイメージです。
「強く打つ」と力むと、このテンポが崩れて距離が暴れます。
まずは練習グリーンで、この3つの振り幅が実際に何メートル転がるかを測ってみてください。
これがあなただけの「物差し」になります。
物差しの考え方がわかったら、次は体に染み込ませる番です。
自宅のパターマットでもできるものから順に紹介します。1日10分でも続ければ、2週間で手応えが変わります。
距離感は「振り幅と転がりの対応」を反復するだけで確実に育つ(写真:Wikimedia Commons)
50cm間隔でティ(または目印)を一直線に並べ、手前から1m・1.5m・2m…と順番に止めていきます。
強さではなく振り幅で打ち分けるのがコツ。距離と振り幅の対応が体に入ります。
狙った距離を目を閉じたまま打ち、転がりの長さを打感だけで当てにいきます。
宮里藍プロも繰り返した名ドリル。視覚に頼らず「打感=距離」の回路を鍛えられます。
右手1本(利き手)だけでストロークします。
手先で当てにいくとうまく転がらないので、自然と肩の振り子で打つ感覚が身につきます。
カップを中心に、1m地点の上り・下り・フックライン・スライスラインの4方向にボールを置き、全部入れます。
1mのあらゆるパターンに強くなり、最後の一打の不安が消えます。
10mのロングパットを、カップではなく半径50cmの円に止める練習です。
円の中に入れば成功。入れにいかず「寄せる」感覚が身につき、3パット率が一番下がります。
小・中・大の3つの振り幅を順番に打ち、それぞれ何メートル転がったかを毎回測ります。
自分の物差しを定期的に校正する作業。グリーンスピードが変わっても対応できるようになります。
スタート前の練習グリーンで行う3パット撲滅ルーティンです。
まず長い距離(7〜10m)を数球打ってその日のスピードを掴み、次に1〜1.5mを全方向から入れて短い距離の自信を作ります。
ラウンド前は「その日のグリーンスピード」を体に入れることが最優先(写真:Wikimedia Commons)
距離感が良くても、傾斜を読み違えると寄りません。
難しく考えず、まずは次の3点だけ押さえれば十分です。
グリーンは「上り下り」と「カップ周りの傾斜」を最優先で読む(写真:Wikimedia Commons)
傾斜の左右より、まず上り・下り。
上りは思ったより転がらず、下りは止まりません。グリーンに乗る前、横や後ろから全体の傾きをざっくり見るクセをつけましょう。
芝が寝ている方向(順目)は速く転がり、逆目は遅くなります。
芝が光って見える方向が順目。特に夏の高麗グリーンは芝目が強く出るので、足裏でも芝の傾きを感じてみてください。
ボールはカップに近づくほど失速し、傾斜の影響を強く受けます。
読みは「最後の1m」を一番丁寧に。スタート地点より、止まる直前の傾きで曲がり幅が決まります。
図解:曲がりは「カップ手前の最後の1m」で決まる
勢いが残るスタート直後より、失速するカップ周りの傾斜が効く
練習で作った距離感も、本番では緊張で揺れます。
そんなときにすぐ効く応急処置を3つ。
Q. 3パットが多いのは距離感とライン読み、どちらが原因?
アマチュアの3パットの大半は距離感(タッチ)のミスです。方向が多少ズレても距離さえ合えば寄せワン圏に止まります。まずは距離感の安定を最優先にしましょう。
Q. パターの距離感はどうやって作る?
振り幅で距離を管理する「物差し」を作るのが最も再現性が高い方法です。足を基準に小・中・大の3段階を決め、それぞれ何メートル転がるかを覚えます。
Q. 1mのショートパットを外さないコツは?
ヘッドアップを我慢し、打った後もボール跡を見続けることが最大のコツ。カップ1m全方向ドリルを毎回20球行えば、本番の自信が変わります。
Q. 速い/遅いグリーンで打ち方を変えるべき?
打ち方やテンポは変えず、振り幅で調整します。ラウンド前に基準の振り幅が何メートル転がるかを確認し、その日の物差しに微調整するのが上級者の考え方です。
業界人Kの視点
最後に正直なこと言うとな、パッティングは「練習量がそのままスコアに出る」一番コスパのええ部分やねん。ドライバーを10y伸ばすのは何ヶ月もかかるけど、3パットを1ラウンドで2回減らすのは、今日の記事のドリルを2週間やるだけで十分届く。しかもパター練習は家でもできるし、体力もいらん。ワシのおすすめは、寝る前に1mのショートパットを10球と、目をつぶって距離を打つ練習。これだけでええ。あれこれ手を出さず、距離感と1mの2点に絞って続けてみてほしい。次のラウンドで「あれ、今日3パットなかったな」って気づく日が、思ったより早く来るはずやで。
3パットの犯人は方向やのうて距離感。
「入れにいく」から「半径50cmに止める」へ発想を変え、振り幅の物差しを持てば、特別な才能がなくても確実に減らせます。
まずは距離感と1mの2点に絞って2週間。パター練習は、一番裏切らないスコアアップの近道です。