2024年全米オープンチャンピオンのブライソン・デシャンボー(32・米国/クラッシャーズGC)が、LIVゴルフ・メキシコシティ最終日を前に右手首の違和感を理由に途中棄権(WD)を発表した。首位ジョン・ラームから16打差の単独大きく離れた位置にいたとはいえ、5月のメジャー初戦「PGAチャンピオンシップ」(5月14〜17日・アロニミンクGC)まで残り3週間。復帰のタイムラインが今後最大の焦点となる。

棄権の経緯:3日目のプレー中に違和感

デシャンボーは第3ラウンドのプレー中に右手首に違和感を覚え、4月20日(日本時間)の夜に棄権を発表した。本人はSNSで「昨日のラウンド中に手首に違和感を感じた。さらに悪化させないために、最終ラウンドの棄権を決めた」とコメント。具体的な傷病名(捻挫・腱炎・TFCC損傷など)には触れず、今後の精密検査で判断するとしている。

途中棄権時点でのスコアは2オーバー。首位を独走していたジョン・ラームから16打差、個人戦部門でも優勝争いから外れていたため、競技上の影響は限定的だった。チーム戦では同僚のチャールズ・ハウエル3世、ポール・ケーシー、アニルバン・ラヒリと組む「クラッシャーズGC」で3日目終了時点で中位。

次戦はLIVバージニア(5/7〜10)を目標

デシャンボーは棄権発表と同時に、「5月7〜10日のLIVゴルフ・バージニア(ロバート・トレント・ジョーンズGC)で復帰したい」と明言。LIVバージニアは奇しくもPGAチャンピオンシップの前週開催であり、デシャンボーにとっては「メジャー前の最終調整」と「復帰戦」を兼ねる非常に重要な1週間となる。

LIVメキシコシティの会場でスイングするブライソン・デシャンボー
写真:Sky Sports(LIVメキシコシティでプレーするデシャンボー)

PGAチャンピオンシップ(アロニミンク)への影響

2026年のPGAチャンピオンシップは5月11〜17日、ペンシルベニア州ニュータウンスクエアの「アロニミンクGC」(Donald Ross設計)で開催される。デシャンボーにとっては——

  • 2024年全米オープン優勝者(Pinehurst No.2)として、直近4つのメジャーで優勝1回・2位2回と圧倒的な安定感
  • 2024年PGA選手権ではザンダー・シャウフェレに1打差の2位。2025年も2位タイと、連続でラスト18ホールに絡んできたPGA選手権の「最有力候補の一人」
  • 飛距離に依存するパワーゴルフが持ち味のため、手首負傷はドライバーに直接影響。コンタクトの質が落ちれば、武器である300ヤード超の飛距離は半減する

デシャンボーの近年の故障歴

時期部位影響
2022年3月左手舟状骨(手術)3か月離脱・減量へ
2022年夏左腰LIV序盤で複数試合回避
2023年なし(大きな故障なし)飛距離・精度ともに復活
2026年4月右手首(今回)LIVメキシコ棄権・検査中

過去の故障歴を見る限り、デシャンボーは故障のたびにパワー依存スイングの再構築を余儀なくされてきた。手首は打撃時のインパクトで最も衝撃を受ける関節の一つだけに、無理な復帰は長期離脱のリスクを高める。

LIVからPGAツアー復帰の噂との絡み

今回の棄権は、ちょうどLIVゴルフのスポンサー(PIF=サウジ公共投資ファンド)の2027年以降の資金供給に関する不透明感が高まっているタイミングと重なった。デシャンボー自身もメキシコシティのコースコンディションに公然と苦言を呈しており、「復帰後のキャリアの選択肢を模索している」との報道もある。ただし本人は「今はPGA選手権に集中する」とコメントを控えている。

日本人ファン目線:松山英樹との関係

デシャンボーと松山英樹は飛距離と精度の両方を突き詰めるタイプの“データ型ゴルファー”として、しばしば比較される。2024年マスターズではデシャンボーが首位で最終日を迎え、結果はローリー・マキロイにプレーオフで敗れた2位(松山は同週17位)。PGAチャンピオンシップでは、飛距離がモノを言うアロニミンクで再度交錯する可能性が高い。デシャンボーが復帰し、松山が本調子ならば、メジャー中盤での直接対決は日本人ゴルフファンにとっても大きな見どころだ。

まとめ:復帰までのカウントダウン

  • 4月21日〜26日:メキシコから帰国、精密検査・MRI
  • 4月末〜5月上旬:練習再開、アロニミンク下見可能性あり
  • 5月7〜10日:LIVバージニア(復帰戦)
  • 5月14〜17日:PGAチャンピオンシップ本番(アロニミンクGC)

ちょうど3週間。アメリカのメディアは「焦らず、ただし予断を許さない状況」と報じている。デシャンボーが元の姿でアロニミンクの1番ティーに立てるか——ゴルフ界全体が注目する3週間が始まった。