LIVゴルフ(リブ・ゴルフ)のスコット・オニールCEOが、4月上旬に米ゴルフメディアに「2026年シーズンまでの資金は確保済み。だがその先は、ビジネスプランを急ピッチで策定中で、必死に継続を模索する」と表明した。サウジアラビアの公的投資基金(PIF)による支援継続が不透明な中、発足から5年目のLIVは大きな岐路を迎えている。

CEO声明——「シーズン中は完全稼働、来期は“必死に”」

4月中旬にスタッフ向けに送られた社内メモで、オニールCEOは「2026シーズンは予定通り、完全エネルギーで運営する。私たちはこれまで以上に大きく、声を上げ、業界への影響力を持つ組織になっている」と書き記した。

一方でゴルフチャンネルのインタビューでは「現実として、シーズン中の資金は確保できている。でもその後は、存続のためのビジネスプランを一から練り直し、必死に動かなきゃいけない」と率直な危機感も吐露した。

背景——サウジPIFの50億ドル投資と“縮小論”

LIVゴルフは2022年6月の第1戦から現在まで、サウジPIFより50億ドル(約7500億円)を超える資金支援を受けて運営されてきた。だが米ESPNやCNNの報道によれば、PIF内部では「2030年サッカーワールドカップ(サウジ単独開催)」への投資集中が議論されており、LIVへの追加資金注入が再検討される動きが出ているという。

「第1四半期の選手保証金の支払いが一部遅延」「契約ベンダーへの未払い発覚」など、資金繰りのタイトさを示す報道も相次いでおり、マーケットは“LIV消滅リスク”を織り込み始めた格好だ。

明るい兆し——年間売上100億円増・チケット売上129%増

オニールCEOが強調するのは、“数字上の好転”だ。2026年のLIVゴルフは、前年比で年間売上が1億ドル(約150億円)以上のプラスペースで推移しており、スポンサー収入・物販収入ともに前年同期比で大幅増加。特にチケット売上は前年同期比129%増と急伸しているという。

「私たちはもはや“お金を吸い込むコンテンツ”ではなく、“自立した事業体”に生まれ変わりつつある」とオニールCEOは自信を覗かせる。実際、2026年のLIVゴルフ・アデレード、リヤド、メキシコシティなどは連日の満員御礼で、LIVのエンタメ志向が現地ファンに浸透した手応えも出始めている。

LIVゴルフ 2026年シーズン 経営指標(前年同期比)

指標 前年同期 2026年 増減率
年間売上 +1億ドル
スポンサー収入 基準値 2桁増
チケット売上 100 229 +129%
物販収入 基準値 2桁増

PGAツアーとの統合交渉は停滞——“シリーズ化”の可能性も

2023年6月に発表された「PGAツアー+PIF+LIVの枠組み統合」は、独占禁止法上の問題や利害対立で交渉停滞が続いている。業界では「LIVを完全独立ツアーではなく、PGAツアー傘下の“LIVシリーズ”として年間6〜8戦に縮小する折衷案」も浮上してきた。

オニールCEOは「統合の窓口は開いている」としつつ、「私たちは独立した事業体として黒字化に集中する」と、ビジネス優先の姿勢を鮮明にしている。

所属選手への影響——マキロイ「LIVは財政的に“息切れ”している」

マスターズ2連覇を達成したロリー・マキロイは、4月中旬のインタビューで「LIVは財政的にずっと息切れしている印象。PGAとの統合でしか未来は描けない」と厳しいコメント。一方、LIVのジョン・ラームは「選手ファースト、スピード感のある大会運営——ここは未来のゴルフのあるべき姿」と、肯定的な立場を表明した。

ブルックス・ケプカはLIVを離れPGAツアーに復帰済みだが、キャメロン・スミス、ダスティン・ジョンソン、ジョン・ラームなどの契約の多くは2028年まで残存。もしLIVが消滅すれば、契約違約金を巡る法的紛争が起こる可能性も指摘されている。

日本ファンへの影響——2027年のLIVゴルフ東京開催は?

2026年は韓国とインドネシアでの新規開催が決定しており、日本ファンの間でも「LIVゴルフ東京」の期待値が高まっていた。しかし資金不透明を背景に、LIV側は「日本開催の具体的な検討は2026年中に行う」と回答するにとどまっている。

今後のLIVの動向は、ゴルフ界全体の勢力図を左右しかねない。まずは4月24日〜26日に行われるLIVゴルフ・韓国(ソウル近郊)、そして5月開催のLIVゴルフ・シンガポールが試金石。観客動員と収益性の成否が、2027年以降の“運営続投”を決定づけることになりそうだ。