PGAツアーが、ついに伝説のコース「ブルーモンスター」に戻ってくる。トランプ・ナショナル・ドラル(マイアミ)を舞台とするキャデラック選手権が、2026年4月30日(木)〜5月3日(日)の日程で初開催される。2016年のWGC-キャデラック選手権を最後にツアー公式戦から姿を消していた同コースに10年ぶりに世界トップ選手が集結する歴史的な週となる。賞金総額2000万ドル、72名限定の「シグネチャー大会」として新たなステータスを獲得したドラル復活劇を、日本ファン向けに徹底プレビューする。

ブルーモンスター、10年の沈黙を破る

1962年にPGAツアー公式戦が初開催されて以来、ドラルのブルーモンスターは実に55年間にわたり世界最高峰の舞台として愛されてきた。タイガー・ウッズが4勝(2005・2006・2007・2013)した“ウッズ・コース”でもあり、フィル・ミケルソン、エルニー・エルス、ニック・ファルドなど14名の殿堂入り選手が計24勝を飾った“世界ランクの聖地”である。

しかし2016年、当時のスポンサーだったキャデラックが契約延長を見送り、オーナーであるドナルド・トランプ氏の政治的動向を背景にツアーがメキシコシティ開催へ移行。ドラルは10年間ツアー空白地帯となった。2026年キャデラック選手権の誕生は、ドラル単独のコンバックというだけでなく、ブルーモンスターが“復権”する節目でもある。

開催概要——賞金・フィールド・フォーマット

項目 内容
大会名 キャデラック選手権(The Cadillac Championship)
日程 2026年4月30日〜5月3日(日本時間5月1〜4日)
会場 トランプ・ナショナル・ドラル/ブルーモンスターコース
所在地 米フロリダ州マイアミ
コース パー72/7,739ヤード
賞金総額 2,000万ドル(約31億円)
出場人数 72名(招待制・シグネチャー大会)
FedExカップ 優勝+700ポイント

“シグネチャー大会”という新ステータス

キャデラック選手権は、2026年シーズンに設けられた8つの「シグネチャー大会」のひとつに指定された。シグネチャー大会とは、PGAツアーのトップ層に限定出場機会を与える高賞金・高FedExカップポイントの大会群であり、メジャー4試合・プレーヤーズに次ぐ重要度を持つ。

フィールド構成:前年度シーズンのトップ50+カテゴリー別上位者+スポンサー推薦を中心に72名に絞られる。ノーカット4日間ストローク戦で、トップ10入りだけでも優勝候補クラスの賞金とポイントが獲得できる“宝の山”だ。

豪華フィールド——マキロイ、シェフラー、フリートウッド出場

現時点で出場を公式表明している主な選手は以下の通り。

  • ロリー・マキロイ(マスターズ2026連覇王)——マキロイにとってドラルは2014年WGC優勝の地。今季マスターズ後の復帰戦として位置づけている
  • スコッティ・シェフラー(世界ランク1位)——2024・2025年にツアー最多勝を記録。RBC選手権でのプレーオフ敗北からの巻き返しに期待
  • トミー・フリートウッド(FedExカップ前年覇者)
  • シェーン・ロウリー(直前週チューリッヒ・クラシック参戦)
  • ザンダー・シャフェレ(ツアー通算10勝、直近肋骨故障から復帰中)
  • ジャスティン・トーマス(2017年FedExカップ王)
  • ジャスティン・ローズ(マスターズ2026準優勝・2連続トップ5)

松山英樹は現時点で正式な出場表明こそないものの、シグネチャー大会への常連出場権を持つ。全米プロゴルフ選手権(5月14〜17日)の前週というスケジュール面での負荷と、ドラルの強風&長い距離に対する適合性の両面から、出場判断が注目される。

ブルーモンスターの“怪物”たる所以

ブルーモンスター(約7,739ヤード)は、エバーグレーズ湿地帯に築かれた広大なレイアウトを持ち、風・水・ベルムーダ芝ラフの三重苦で“怪物”と呼ばれる。

  • 18番パー4(467ヤード):左フェアウェイ全体を舐める巨大な水池。ツアーNO.1難度ホールの常連
  • 10番パー4(443ヤード):フェアウェイ右手の戦略的バンカー群
  • 6番パー5(577ヤード):グリーン手前の池を避けるか攻めるか、スコアの分かれ目

2014年にジャック・ニクラウス監修の下で大改修が行われ、バンカー再配置・グリーン複雑化・ラフ厚化が施されている。マキロイが2014年WGCで優勝した当時のレイアウトが、ほぼそのまま2026年ツアー復帰戦の舞台となる。

ドラル復帰が意味するもの

ドラルの帰還は、単なる“大会復活”以上の意味を持つ。PGAツアーのコミッショナー、ジェイ・モナハン氏は本大会について「歴史と最新のフォーマットが融合した、現代ツアーを象徴するイベントになる」と語った。アメリカ国内のトッププレーオフ舞台(ベイヒル、ペブルビーチ、ミュアフィールド・ビレッジなど)に並ぶシグネチャー会場として、ドラルが再び“ツアーの常設聖地”に定着するかが今後の試金石となる。