メジャー2勝・LPGAツアー通算13勝のステイシー・ルイス(41=米国)が、地元テキサス州ヒューストンで開催中のシェブロン選手権2026現役最終戦として戦い、日本時間4月25日(金)にカット落ちで18年のプロキャリアに幕を下ろした。最終ホール18番は父デイルがキャディーを務め、ピンに吸い込まれる「ロングパー」のパットで涙の引退セレモニーに。第二子を妊娠中で、家族とともに新章へと歩み出す。

「父デイル・キャディー」——18番を歩いた親子の絆

ルイスがキャリアを締めくくる最後のホールで起きた演出が話題を呼んでいる。第2R終盤、いつものキャディーから父デイルへキャディーバッグを引き継ぎ、最後のフェアウェイを親子で並んで歩いた。父デイルは、ルイスのジュニア・アマ時代からずっとバッグを担いでいた人物。プロ転向後は娘がプロキャディーを採用したため一線を退いていたが、夫の発案で「最後の1ホールだけ」復帰したという。

18番グリーンに上がったのは長いパー狙いの30フィート(約9m)パット。ルイスがストロークすると、ボールはカップの真ん中に消えた——会場のギャラリーは総立ちで、ルイスは父と長い抱擁。夫・娘もグリーンサイドに合流し、家族全員でカメラに向かって涙の手を振った

引退時点のキャリア・ハイライト

項目記録
LPGAツアー優勝13勝
メジャー優勝2勝(2011シェブロン/2013英国女子オープン)
世界ランキング1位通算25週(2014年)
キャリア獲得賞金約14,500,000ドル(LPGA歴代上位)
ソルハイムカップ選手7回出場/2023年は米国チームキャプテン
家族夫・娘1人/第二子妊娠4か月(2026年4月時点)

「もう、終わって嬉しい」——率直な引退コメント

ホール後の囲み取材でルイスは「I'm so ready to be done.(もう終われて嬉しい)」と笑顔を見せた。背中の故障に長年悩まされ、ここ数年はボードを「上に登る感覚」がなくなっていたと明かす。「みんな『早すぎる』と言うけれど、家族と過ごす時間2人目の出産を最優先にしたい。今この瞬間が、私にとってベストのタイミング」と心境を語った。

ステイシー・ルイス 18番フェアウェイ 父デイルとカートを押す 妊娠4か月 シェブロン2026 引退セレモニー
最終18番、父娘で歩いた45ヤード(写真:Golf Digest)

2011年シェブロン制覇——ルイスを「世界1位」に押し上げた1勝

ルイスが2011年に当時のクラフトナビスコ選手権(現シェブロン選手権)でメジャー初制覇を遂げた舞台が、奇しくも今年の引退の舞台と「同じ大会名」。「15年前にここから始まり、ここで終わる。これ以上完璧なストーリーはない」と感慨を込めた。2013年の英国女子オープンでメジャー2勝目を達成し、2014年に世界ランク1位に到達。LPGA「Player of the Year」を2回受賞している。

引退後のキャリア——コーチ・解説・ジュニア育成へ

ルイスは「2025年シーズン中に引退を発表し、最後の半年は地元テキサス出身の若手選手をマンツーマンで指導してきた」と告白。今後の活動として以下を予定している。

  • ジュニアゴルフ財団「Stacy Lewis Foundation」運営:テキサス州内の女性ジュニア向け奨学金設立
  • NBC Sports / Golf Channelでの解説業(不定期)
  • 2027年ソルハイムカップ米国チームへのアシスタント・キャプテン就任が打診中
  • 地元アーカンソー大学女子ゴルフ部のメンター活動

日本ファンへのメッセージ

共同通信のインタビューでルイスは「2017年エビアン・チャンピオンシップでハリケーン災害支援のために自身の優勝賞金19.5万ドル全額を寄付したとき、日本のメディアと日本のゴルフファンが私のストーリーを大きく取り上げてくれた。畑岡奈紗選手や古江彩佳選手とも何度も同組でラウンドした。日本のゴルフファンに『ありがとう』と伝えたい」と語った。

まとめ:ルイスの引退が示す「LPGA女性アスリートの新しい完走」

13勝・メジャー2勝・世界1位という結果と、家族・地元・社会貢献を選択した「自分のタイミングでの引退」。ルイスのキャリアエンドは、女性アスリートが現役後も豊かなライフキャリアを歩むことを示した好例といえる。シェブロン2026決勝Rは引き続きネリー・コルダvsパティ・タバタナキットのメジャータイトル争いに突入するが、その「裏で起きた静かな名場面」を語り継ぐべきだ。