ジョン・ラームがDPワールドツアーへの控訴を取り下げたにもかかわらず、300万ドル超とされる罰金の支払いを拒否し続けている。このため2027年ライダーカップ(アイルランド・アデア・マナー)への出場資格が依然として不透明なままだ。本人は「必ず解決する」と自信を示しているが、欧州ゴルフ界には不安が漂う。
事の発端——LIVゴルフ参加による違約金問題
2022年にLIVゴルフへ移籍したラームは、DPワールドツアーの「競合イベント免除」ルールに違反した。欧州ツアーの許可を得ずにLIVゴルフの試合に出場したとして多額の制裁金が科され、最終的にその総額は300万ドル(約4億5000万円)を超えるとされている。
DPワールドツアーは2026年シーズン、LIVゴルフ勢8名に対し「条件付き試合出場許可」を与えた。条件は①控訴の取り下げ、②罰金の全額支払い、③シーズン中6試合への出場(うち2試合はツアー指定)の3点。ブルックス・ケプカやシェーン・ローリーら8名はこの条件を受け入れた。しかしラームはこれを拒否した。
「これは選手への恐喝だ」——ラームの強硬姿勢
ラームはDPワールドツアーの要求を「選手を恐喝するようなもの(extorting players)」と激しく批判。特に6試合の出場義務については「4試合なら合意できる」と代替案を提示したものの、双方の協議は折り合いのないまま推移している。
2026年3月、ラームは制裁に対する法的控訴を取り下げた。ただし控訴の取り下げは「法廷闘争をやめる」という意思表示であり、罰金の支払いを認めたわけではない。ラームは「法廷で争うことは誰にとっても良くないと判断した」と説明しつつ、あくまで交渉によって解決を目指す姿勢を崩していない。
欧州キャプテン、ロリー、ローズの見解
欧州チームのキャプテンを3期連続で務めるルーク・ドナルドは、ラームが2027年ライダーカップ(アデア・マナー)のチームに加われるよう「解決策が見つかることを願っている」と語った。ドナルドは「彼がライダーカップをどれほど愛しているかは十分わかっている。オラサバル、バレステロス、セルヒオ・ガルシアといった偉大なスペイン人選手がそうだったように、ライダーカップは彼のDNAに刻まれている」と述べ、ラームの重要性を認めている。
ロリー・マキロイはDPワールドツアーの提示した条件を「寛大な提案(generous deal)」と評し、ラームが受け入れなかったことを惜しんだ。ジャスティン・ローズは「双方に歩み寄れる中間点(middle ground)が必ずある」と和解への期待を示した。
ラームの現在地——LIV個人タイトル争いでトップ
制裁問題の渦中にあっても、ラームのゴルフは絶好調だ。2026年LIVゴルフシーズンでは個人タイトル争いの上位につけており(メキシコシティ大会では6打差の圧勝)、2大メジャー(2023年マスターズ・2021年全米オープン)制覇者としての存在感は健在だ。
ラームは9月まで欧州ツアーの試合に出場する予定はないため、「今すぐ資格を停止されても実害はない」と現実的に語っている。デッドラインは来年の2027年ライダーカップ直前となる見通しだ。
2027年ライダーカップの行方——ラームは不可欠な存在
欧州チームは2023年(ローマ)、2025年(ベスページ・ブラック)と連覇中。ドナルドが史上初の3連覇キャプテンを目指す2027年大会(9月17〜19日、アイルランド・アデア・マナー)に向け、チームの核となりうるラームの不在は大きな痛手だ。過去の実績と現在のパフォーマンスを考えれば、ラームが欧州チームに加わればその戦力は格段に上がる。
ラームは「9月には必ずこの問題は解決している。自分とDPワールドツアー、双方に良い形で落としどころが見つかると確信している」と繰り返し語っている。DPワールドツアーと欧州ゴルフ界にとっても、最大の関心事の一つはラームの参加可否だ。今後の交渉の行方に注目が集まる。
ラームをめぐる制裁問題 主要経緯
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2022年 | LIVゴルフ参加→DPワールドツアーが制裁金を科す |
| 2026年2月 | DPワールドツアー、8名のLIV選手に条件付き出場許可 |
| 2026年2月 | ラーム、条件拒否(「6試合は多すぎる」) |
| 2026年3月 | ラーム、法的控訴を取り下げ(罰金支払いは拒否継続) |
| 2026年4月 | マスターズ前にラームが「解決に自信あり」と発言 |
| 2027年9月 | ライダーカップ(アデア・マナー)——デッドライン |