サウジアラビアのPIF(公共投資ファンド)がLIVゴルフへの資金提供を2026年シーズン末で打ち切ると発表した翌日、カディラック選手権が開催されているトランプ・ナショナル・ドラールで、ドナルド・トランプ大統領がLIVゴルフ選手のPGAツアー復帰を公然と支持した。会場にいたPGAツアー選手たちの反応は複雑だ。

「マキロイとデシャンボー、ラームとシェフラーの対決が見たい」——トランプ大統領の発言

5月1日、自身が所有するトランプ・ナショナル・ドラール(マイアミ)でカディラック選手権が開催される中、トランプ大統領は記者団に対してLIVゴルフ選手のPGAツアー復帰について明確な支持を表明した。

「私はそう思う。すべての偉大なゴルファーが同じフィールドで競い合うべきだ。ロリー(マキロイ)がブライソン・デシャンボーと対決するのを見たい。ビッグ・ジョン(ラーム)がスコッティ(シェフラー)と戦うのを見たい」 ——ドナルド・トランプ大統領(2026年5月1日、トランプ・ナショナル・ドラールにて)

トランプ大統領はさらにこう続けた。「LIVには素晴らしい選手たちがいる。でも人々はそれを見たがっている。だからマスターズがあれほど盛り上がったんだ——みんながひとつのコースに集まったから。ツアーは最高の選手を求めている。彼らがボイコットしたままでは最高の選手がそろわない」と述べた。

この発言は、PIF撤退発表(4月30日)から一夜明けた絶妙なタイミングで飛び出した。LIVゴルフは今後7大会(バージニア、韓国、スペイン、英国、ニューヨーク、インディアナポリス、チームチャンピオンシップ)をこなす予定だが、2026年以降の存続は不透明だ。

カディラック選手権の会場で飛び出したPGAツアー選手の反応

LIVゴルフのPGAツアー復帰問題をめぐる報道
LIVゴルフとPGAツアーの統合問題は依然として複雑な状況にある(提供:Sky Sports / 365DM)

カディラック選手権第1ラウンドを終えたPGAツアー選手たちにも、LIVゴルフ問題への見解が相次いで問われた。選手の多くは、慎重ながらも「何らかの復帰ルートは存在すべき」という立場を示した。

ジョーダン・スパイス——「部屋にいる人を信頼する」

カディラック選手権第1ラウンドで7アンダー65をマークして2位タイにつけたスパイスは、複雑な心境を率直に語った。

「全員に同じ条件が適用されるべきかは分からない。数カ月前にオリーブの枝が差し伸べられ、ブルックス(コプカ)はそれを受け入れた。だから今さら何が変わるのか、よく分からない」 ——ジョーダン・スパイス、カディラック選手権R1後のコメント

スパイスはさらに、「ブルックスのためのシステムとパトリック・リードのためのシステムがある——では同じカテゴリーの選手が戻ってきたとき、それが同じ条件になるのか?裁判を起こしたり会員資格を放棄したりした選手はどうなるのか?この4年間でさまざまなことが起きた。正直、あの部屋にいなくてよかったと思う。でも、あの部屋にいる人たちが正しい判断をしてくれると信じている」と語った。

キャメロン・ヤング——「ブルックスが戻ってきたのは良かった」

R1単独首位(8アンダー64)のヤングは、コプカの復帰を歓迎しつつも今後については様子見の姿勢だ。「ブルックスが戻ってきたのは良かったと思う。でも正直、私が決めることじゃない。LIVの選手たちが何を考えているのかも分からないし、これからどうなるかも分からない」と話した。

ブライアン・ハーマン——「傷は癒えるが、訴訟は別問題」

ハーマンは「時間が傷を癒す」としながらも、訴訟組への慎重論を唱えた。「裁判を起こした選手たちについては、まだかなり感情的なものが残っている。戻ってくる道はあるべきだと思うが、彼らが本当に戻ろうとするまでは、私たちが今直面している問題ではない」と語った。

PGAツアーの「復帰メンバープログラム」は終了——今後の条件はより厳しく

Golf Digestの報道によると、PIFが撤退を決定したことを受け、コプカに適用された「復帰メンバープログラム」は更新されない見込みだ。このプログラムはコプカ以外にキャム・スミス(2022年プレーヤーズ、2022年全英)、ジョン・ラーム(2023年マスターズ)、ブライソン・デシャンボー(2024年全米オープン)の3人にも資格があったが、全員がオファーを断っており、窓はすでに閉じている。

今後は選手ごとに異なるカテゴリーで扱われる見通しで、PGAツアーへの訴訟に加わった11人の選手はとくに厳しい審査を受けることが予想される。PGAツアーCEOのブライアン・ロラップは「あれは一度限りの特別プログラムだった」と明言しており、ラームやデシャンボーの復帰を取り巻く交渉は容易ではない。

LIVゴルフの今後——残り7大会と新資金源の模索

LIVゴルフは2026年シーズン残り7大会を予定どおり開催するとしている。来週(5月7日〜10日)はトランプ・ナショナルGC(ワシントンD.C.郊外バージニア)でバージニア大会が行われる予定で、皮肉にも今度もトランプ所有コースが舞台となる。

大会開催地日程
バージニアトランプ・ナショナルGC(米国)5月7〜10日
コリアアジアード・カントリークラブ(韓国)5月28〜31日
アンダルシアレアル・クラブ・バルデラマ(スペイン)6月4〜7日
ユナイテッド・キングダムJCBゴルフ&CCクラブ(英国)7月23〜26日
ニューヨークトランプ・ナショナルGCベッドミンスター(米国)8月6〜9日
インディアナポリスチャタムヒルズCC(米国)8月20〜23日
チームチャンピオンシップカーディナル@セントジョンズ(米国)8月27〜30日

Sky SportsのジェイミーウェアーはLIVゴルフの財政難についてこう指摘する。「PIF並みの資金を注ぎ込む投資家は、正直なところ現れないだろう。約6000億円をつぎ込んで、見返りはほぼなかった。そのような失敗例に追い銭を出す投資家はいない」。

選手ごとに状況は大きく異なる。フィル・ミケルソン、イアン・ポールター、リー・ウエストウッドのような大御所は引退も選択肢だ。DP World Tourカードを持つ8名(ティレル・ハットンら)はパトリック・リードと同様の道が開かれている。一方、ラームとデシャンボーについては「一回限りの復帰オファーをみずから断った経緯があり、状況は複雑」との見方が一致している。

日本人選手への影響は?

LIVゴルフと直接関係のない松山英樹や久常涼にとって、この問題は対岸の火事ではない。仮にデシャンボーやラームがPGAツアーに復帰すれば、世界トップ選手の数が増え、松山の世界ランキングや各大会へのアクセスにも影響が出る可能性がある。また、PGAツアーとLIVの統合あるいはLIV消滅は、ゴルフ界全体のツアー日程にも変化をもたらすかもしれない。引き続き動向に注目が必要だ。