サウジアラビアの公共投資ファンド(PIF)がLIVゴルフへの資金提供を2026年シーズン限りで終了すると発表して以降、複数のLIV選手の代理人がPGAツアーに復帰の可能性を打診していることが明らかになった。Golf Digestの報道によれば、ブライソン・デシャンボーの代理人も接触済みで、最大15〜20名の選手が何らかの形で復帰できる見通しとされる。ただしブルックス・コープカに適用された「リターニングメンバー制度」は再開されず、復帰条件は大幅に厳しくなる。

PIFの資金撤退でLIVゴルフが岐路、選手たちが動き始める

4月29日(現地時間)、ウォール・ストリート・ジャーナルがPIFによるLIVゴルフへの資金提供終了を最初に報じた。PIFは「2026年シーズン限りで資金提供を行う」と正式に確認し、総裁のヤシル・アル・ルマイヤン氏もリーグの取締役会を離れる見通しとなっている。さらに6月予定だったニューオーリンズ大会の延期が発表されるなど、リーグは急速に不安定化している。

この状況を受け、複数のLIV選手の代理人がPGAツアーに接触し始めた。Golf Digestが確認した情報によると、デシャンボーの代理人もその中に含まれており、同選手の復帰の可能性を探っている。デシャンボーは2024年に報じられた「3億ドル超の契約」でLIVに在籍しているが、2026年末でフリーエージェントになる見通しだ。

「リターニングメンバー制度」は終了——復帰条件は大幅に厳格化

コープカがPGAツアー復帰を果たした際、ツアーCEOのブライアン・ロラップ氏は「リターニングメンバー制度(Returning Member Program)」を発表した。これは過去2年以上ツアーを離れ、2022〜2025年にプレーヤーズ選手権か4大メジャーを制した選手に資格が与えられる制度で、対象はコープカのほかカム・スミス、デシャンボー、ラームの3名だったが、いずれも期限(2月2日)までに申請しなかった。

ロラップCEOのコメント(5月1日):
「あれは一度限りの特別措置だ。今も復帰の道は存在するが、パトリック・リードが活用しているように、それが現在の正式な道筋だ。LIVの選手たちもそのルートを知っているはずで、変わらない限りそれが唯一の方法だ」

つまり、今後LIVから復帰を希望する選手は、より制限の厳しい既存のルートを辿らなければならない。直近の調停手続きや、最後のLIV大会から一定期間の待機義務なども課される可能性がある。

ジョン・ラームがLIVゴルフに出場、マヤコバ2024年
ジョン・ラーム(LIVゴルフ、2024年マヤコバ) © Golf Digest / Getty Images

15〜20名が返還可能? 選手別の状況を整理

業界関係者によると、PGAツアーとDP世界ツアー合わせて最大15〜20名のLIV選手が2026年末以降に復帰できる可能性がある。ただし、状況は選手によって大きく異なる。

選手名現在の状況見通し
ブライソン・デシャンボーLIV在籍、エージェントが接触済み訴訟参加で追加審査の可能性
ジョン・ラームDP世界ツアー資格で係争中ライダーカップ資格に影響、早期解決が課題
フィル・ミケルソンLIV在籍訴訟参加で復帰に高いハードル
タロー・グーチLIV在籍訴訟参加で厳しい審査が予想
イアン・ポールターLIV在籍訴訟参加で厳しい審査が予想
トム・マッキビンLIV在籍(若手国際選手)DP世界ツアー経由での復帰に期待
パトリック・リード2026年開幕前にLIV離脱済みDP世界ツアー経由で復帰目指す(先例あり)

ラームの「DP世界ツアー問題」が欧州ライダーカップにも波及

スペインの元世界ランク1位、ジョン・ラームの状況はひときわ複雑だ。DP世界ツアーへの会員資格復活を巡って同ツアーと対立が続いており、2027年のライダーカップ(アデア・マナー、アイルランド開催)の出場資格がかかっているだけに解決は急務だ。DP世界ツアー側は復帰への道を探っているとされるが、ラーム側の対応が難航していると伝えられている。

デシャンボーとラームがPGAツアーに復帰する意向を示せば、ツアーとしては受け入れる可能性が高いと見られている。ただし、antitrust(独禁法)訴訟に参加した11名には別途審査が行われ、ファンやツアー選手の間に残る感情的なしこりも無視できない要因となっている。

PGAツアー選手の反応——「時間が解決する」「でも訴訟は別」

ツアーの次期選手諮問委員会委員長に就任したルーカス・グローバーは比較的前向きな立場を示した。「選手が自分のキャリアのためにベストな選択をすることを責めるつもりはない。ただ、復帰するならコープカと同じルールに従い、同じペナルティを払うべきだ」とコメントした。

一方、デシャンボーやミケルソンらが参加したPGAツアーへの独禁法訴訟については、ツアー内でも根強い反感が残る。ブライアン・ハーマンは「ケース・バイ・ケースで対応するようだが、ファンはみんな一緒にプレーするのを見たい。時間が癒やしてくれるかもしれないが、訴訟の件はなかなか消えない感情だ」と話した。

LIVゴルフの今後——新投資家を探して「戦略的転換期」へ

PIFの後ろ盾を失うLIVゴルフは「多様な投資パートナーモデル」への移行を掲げ、新たなスポンサーや投資家の獲得を急ぐ。しかし業界関係者の多くは懐疑的だ。年間数億ドル規模の赤字を補填しつつリーグを継続させるほどの資金を、複数の民間投資家から集められるかどうかは不透明だ。

一つの時代の幕引きを迎えつつあるLIVゴルフ。PGAツアーとの長い確執の末に生まれた「もう一つのゴルフ界」は、2026年末にどのような形で着地するのか。デシャンボー、ラーム、そしてミケルソンら大物選手たちの決断が、今後数ヶ月で世界ゴルフ界の地図を塗り替えることになる。