サウジアラビアの政府系ファンド(PIF)が、LIVゴルフへの資金提供を2026年シーズン終了をもって打ち切ると発表した。これを受けてブライソン・デシャンボーは「LIVゴルフが失敗に終わるなら、PGAツアーへの復帰よりもYouTubeチャンネルの成長を優先する」と衝撃的な発言を行い、プロゴルフ界に波紋が広がっている。

269万
デシャンボーのYouTube登録者数
2026
PIFがLIVへの資金提供を終了する年
2033
全米オープン出場資格(2023年優勝)

PIFがLIVゴルフへの資金提供を2026年末で打ち切り

先週、サウジアラビアの政府系ファンド・PIFは声明を発表し、「今後に向けた投資戦略と、LIVゴルフへの多額の投資継続が合致しなくなった」として、2026年シーズン終了をもって資金提供を終了すると明らかにした。

2022年にLIVゴルフが旗揚げして以来、PIFは数千億円規模の資金を投じてきた。しかし近年は選手への高額契約や運営コストが膨らむ一方で、収益化の道筋が見えにくいとされていた。今回の撤退発表は業界内外に衝撃を与えており、LIVゴルフの存続そのものが問われる事態となっている。

「2032年まで資金があると言われた」 完全な不意打ちを告白

デシャンボーにとって今回の発表は、まさに「青天の霹靂」だった。彼はESPNのインタビューでこう語った。

「完全に驚きました。こうなるとは思っていなかった。数か月前まで『2032年まで資金がある』と言われていたから、そう皆に伝えていた。それが実際に言われたことだったし……それが今、違う方向へ進んでいる。明らかに彼らは違う選択をしたかったのでしょう」 — ブライソン・デシャンボー(ESPN インタビュー、2026年5月)

PIFとの連絡が突然途絶えた経緯も明かし、組織内でのコミュニケーション不足に戸惑いを隠せない様子だった。LIVゴルフに参加した時のビジョンと現実の乖離に、失望感をにじませた。

「LIVが失敗するなら、YouTube3倍に成長させたい」

では、LIVゴルフが消滅した場合、デシャンボーはどう動くのか。多くの人が期待するPGAツアーへの復帰ではなく、意外な答えが返ってきた。

「私としては、YouTubeチャンネルを3倍、いやそれ以上に成長させたい。さまざまな言語のダビングも入れて、世界中の人がYouTubeを見る理由を増やしたい。そして、私を必要としてくれる大会に出場したいと思っています」 — ブライソン・デシャンボー(ESPN インタビュー、2026年5月)

デシャンボーのYouTubeチャンネルはすでに登録者269万人を誇る。アマチュアや中高年ゴルファーとのラウンド企画、ドラコン挑戦、ゴルフ解説など独自コンテンツで急成長を遂げており、プロゴルファーとしての活動と並行してインフルエンサーとしての地位も確立してきた。

LIVゴルフ ブライソン・デシャンボー ジョン・ラーム PIF撤退
PIFの撤退発表を受け、LIVゴルフの主力選手たちの今後に注目が集まる(写真:Sky Sports / 365dm.com)

PGAツアー復帰は「罰金の壁」と「ゴルフ界の統合」が鍵

もちろん、PGAツアーへの復帰という選択肢も完全には排除していない。ただし、その道には高い壁がある。デシャンボーはLIVゴルフ移籍の際にPGAツアーを無断で離脱したとして、多額の罰金が科せられており、復帰には相応の負担が伴う見通しだ。

「ゴルフ界全体のために、誰もが少しエゴを脱ぎ捨てなければならない。私がLIVゴルフに来たのは、ゴルフの発展のためだ。それが私のYouTubeでやっていることの原動力でもある。みんなが平等な立場で集まり、『ゴルフにとって何がベストか』を考える時が来た」 — ブライソン・デシャンボー

PGAツアーとDPワールドツアーの両方との統合が実現すれば「理想の形」と語るデシャンボー。チームフランチャイズの売却価格が近い将来2億ドル(約290億円)近くになるとの試算も披露し、LIVゴルフのビジネスとしての可能性を強調した。

ジョン・ラームはDPワールドツアーへの「和解金支払い」で復帰合意

一方、LIVゴルフの顔のひとりであるジョン・ラームは、今週別の動きを見せた。ラームはDPワールドツアーが科していた全罰金・罰則を支払うことに合意し、同ツアーへの復帰権を獲得した。これにより、ラームは2027年ライダーカップの欧州チームへの参戦資格も得たとされる。

ラームのケースはデシャンボーとは対照的な選択と映る。ラームがPGAツアーへの最終的な帰還を視野に積極的な動きを見せる一方、デシャンボーは自身のYouTubeコンテンツを軸にした独自路線を模索している。

📋 デシャンボーのメジャー出場資格(現状)
✅ 全米オープン:2033年まで(2023年優勝・10年免除)
✅ マスターズ:要確認(過去優勝なし、世界ランク資格は喪失リスク)
⚠️ 全英オープン・全米プロ:2028年まで(過去のポイントによる資格)
※ 世界ランクの低下により資格が失われる可能性あり。招待次第となる大会も出てくる見込み。

LIVゴルフ CEO「デシャンボーは特別な存在」 存続への期待

LIVゴルフのCEO、スコット・オニールはデシャンボーとの関係についてこう語る。「ブライソンは特別だ。ゴルフだけじゃなく、ビジネスの未来についてもいつも話し合っている。チームフランチャイズ、ファンエンゲージメント、LIVの将来……彼はスマートで、献身的で、本当に良いビジネスパートナーだ」と称賛を惜しまなかった。

PIFが撤退した後も、LIVゴルフが独自の資金調達や投資家誘致によって存続を模索する可能性は残っている。デシャンボー自身も「素晴らしいビジネスモデルができれば、PGAツアーやDPワールドツアーも統合に前向きになる。それが理想のKumbayaの瞬間だ」と語っており、LIVの完全消滅を既定路線とはしていない姿勢を見せた。

ゴルフ界の「大統合」はいつか実現するのか

PGAツアー、DPワールドツアー、LIVゴルフの三者統合は2023年以降、交渉が続いているが難航を極めている。PGAツアー側選手ビリー・ホルシェルは「復帰する選手への条件は最初に提示した時より厳しくなる」と述べており、LIV選手の無条件復帰は現実的ではないとの見方を示した。

「いつかは誰もが一つの傘の下で一緒にやれる時代が来ると思う」とも語るホルシェル。ゴルフ界が分断から融合へと向かうには、デシャンボーが訴えるように「全員がエゴを下ろす」ことが不可欠だ。LIVゴルフのPIF撤退という大きな転換点を経て、業界再編への議論が加速するか注目される。

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