サウスカロライナ州ヒルトンヘッドアイランドのハーバータウン・ゴルフリンクスで行われたPGAツアーのシグネチャーイベント「RBCヘリテージ2026」は日本時間4月20日(月)早朝に最終ラウンドが終了。マット・フィッツパトリック(31・イングランド)が通算-18で世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーとプレーオフに突入し、18番での1ホール目を13フィートのバーディで制して3年ぶり2度目の優勝を飾った。
4打リードから追いつかれる——プレーオフ突入のドラマ
最終ラウンド、フィッツパトリックは首位で出発し、一時は4打のリードを手にしていた。しかし残り4ホールで3打差を追いかけたシェフラーが、終盤に2つのバーディを奪って4アンダー67で仕上げ、ついに通算-18で並ぶ。フィッツパトリックもグリーン右からの寄せをミスし、最終18番で20フィートのパーパットを外して今大会唯一のボギーを記録。1打差を詰められる形となり、プレーオフ突入が決定した。
フィッツパトリックは最終ラウンド1アンダー70、シェフラーは4アンダー67でホールアウト。ともに通算-18(268)の死闘だった。
プレーオフ18番——204ヤード4アイアンの芸術
プレーオフは本大会の最難関となった18番ホールで行われた。フィッツパトリックはティショットを安全なポジションに運び、204ヤード第2打で4アイアンを選択。強い向かい風の中、本人が「意図していたよりやや左」と振り返るショットは、バンカーを越えてグリーンに乗り、ピンを通り過ぎて13フィート(約4メートル)に止まった。
一方、シェフラーの第2打はこの日ワーストのミスショット。6アイアンが大きく右に外れ、グリーン手前37ヤードにショート。素晴らしい寄せでピンまで8フィート(約2.4メートル)に寄せたものの、フィッツパトリックが先にバーディパットを沈めたため、シェフラーにはパットの機会すら訪れなかった。
フィッツパトリックは優勝決定後、観客に対して右耳に指を軽く添えるジェスチャーを見せ、敵地のギャラリーへの感謝をにじませた。
2023年スピース戦と酷似——「本当にクールだった」
この勝利はフィッツパトリックにとって、2023年にジョーダン・スピースをプレーオフで破って初優勝を飾った時とほぼ同じシナリオだった。当時もプレーオフは18番で行われ、9アイアンの一撃でバーディを奪って優勝を決めていた。
「プレーオフが18番で続くのはちょっと面白い偶然だった。難しいホールだから、差をつけるのは容易ではないと思っていた。でもあのショットを打てたのは特別なこと」とフィッツパトリックはコメント。さらに「タフに戦い抜いた。グリット(粘り)の勝利だ」と自らのメンタルの強さを振り返った。
敵地での優勝——「みんなシェフラーを応援していた」
ハーバータウンの18番手前のフェアウェイに入り込んだ大観衆は、カリブーグ・サウンドに「U-S-A! U-S-A!」のチャントを響かせ、地元アメリカのシェフラーに声援を送り続けた。しかしフィッツパトリックは「バックスイング中に叫ぶような観客はいなかった。それが良かった。ファンがスコッティを応援するのは当然のこと。ゴルフにそうした熱気があるのは素晴らしい」と、敵地での優勝を冷静に受け止めた。
プレーヤーズ選手権ではキャメロン・ヤングとの優勝争いの末に敗れた経験を持つフィッツパトリックにとって、敵地のプレッシャーを乗り越えた今大会のV奪取は、精神面での大きな成長を示す一戦となった。
直近4大会で830万ドル獲得——世界ランキング自己最高3位へ
今大会の勝利はフィッツパトリックにとってPGAツアー通算4勝目、ワールドワイドでは通算13勝目となる。これにより世界ランキングは自己最高の3位まで浮上した。
近況は驚異的で、プレーヤーズ選手権2位、バルスパー選手権優勝、そして今大会優勝と、直近4大会で約830万ドル(約12.6億円)を稼いだ計算だ。わずか1ヶ月で2勝という圧倒的なフォームで、2026年シーズンの中核選手として完全に存在感を確立している。
RBCヘリテージ2026 最終リーダーボード(上位抜粋)
| 順位 | 選手名 | 最終R | 通算 |
|---|---|---|---|
| 1位 | マット・フィッツパトリック | 70 | -18(268)※P.O.勝 |
| 2位 | スコッティ・シェフラー | 67 | -18(268) |
| 3位 | シ・ウーキム | 68 | -16 |
| T4 | コリン・モリカワ | 67 | -13 |
| T4 | ハリス・イングリッシュ | 69 | -13 |
| T4 | ルドヴィヒ・オーベルグ | 70 | -13 |
子供時代から憧れた大会——「メジャーよりも勝ちたかった」
フィッツパトリックの家族は、彼が少年時代にヒルトンヘッドアイランドへ休暇で訪れていた。ゴルフ、テニス、ビーチを楽しんだ思い出の地で、いつか勝てたらクールだと思い続けてきた大会。それを2度も制したことになる。
「本当に何よりも嬉しい。ゴルフを深く知る前、子供の頃はメジャー大会よりもこのトーナメントで勝ちたかった。ここでスコッティと真っ向勝負をして、最後に勝ち切れたのは特別な意味がある」とフィッツパトリックは感慨深げに語った。
日本のゴルフファンへ——シグネチャーイベントの醍醐味
マスターズ直後に行われたRBCヘリテージ2026は、世界トップ選手が集うシグネチャーイベントの名にふさわしい最高峰の戦いとなった。フィッツパトリックの精密なコースマネジメントと土壇場の4アイアン、シェフラーの終盤連続バーディと粘り、そして18番プレーオフのドラマ——ゴルフの魅力が凝縮された一戦だった。
次週はニューオーリンズのTPCルイジアナで、PGAツアー唯一のペア戦「ズーリッヒ・クラシック」が開催される。昨年覇者のベン・グリフィン&アンドリュー・ノヴァクが連覇に挑む一方、松山英樹のライバルでもある日本期待の中島啓太も平田憲聖とのペアで出場予定だ。