2026年シーズン「メジャー第2戦」となる「第108回PGAチャンピオンシップ」(米ペンシルベニア州ニュータウンスクエア/アロニミンクGC/5/11〜17)に、現職のPGA・オブ・アメリカ会長ドン・レア・ジュニアが出席しない見込みであることが報じられた。スポーツ・ビジネス・ジャーナル紙のジョシュ・カーペンター記者によると、レア会長は大会期間中、会場のペンシルベニア州に姿を現さない。現職会長によるメジャー大会欠席は極めて異例で、背景には2025年ライダーカップでのファン対応問題と、それに伴う役職の縮小がある。
1962年以来64年ぶり:アロニミンクGCがメジャーを再開催
第108回PGAチャンピオンシップは、ペンシルベニア州フィラデルフィア郊外の名門「アロニミンクGC」で開催される。同コースがPGAチャンピオンシップを開催するのは1962年以来、実に64年ぶり。1962年大会ではゲーリー・プレーヤーが優勝した歴史を持つ。2026年は米国建国250周年(セミクィンキ・センテニアル)の祝祭の年と重なり、フィラデルフィアの独立記念都市での開催にも特別な意味が込められている。大会には20万人以上の観客動員が見込まれている。
ドン・レア会長の異例欠席:背景にある「役職縮小」
ドン・レア・ジュニアは2024年に第44代PGA・オブ・アメリカ会長に選出され、任期は2026年11月まで。アリゾナ州メサのオーガスタ・ランチGCのオーナー兼運営者で、PGAメンバー歴は22年。マイナーリーグ野球の審判として9年のキャリアを持つ異色の経歴の持ち主。
しかし2025年10月のライダーカップ(ベスページ・ブラックコース)で、米国ファンによるローリー・マキロイら欧州チーム選手への過剰な野次・ヤジに対する初動対応が物議を醸し、その後数日経って謝罪・発言撤回。2025年11月にはPGAツアー本体およびPGAツアー・エンタープライズの両理事会から解任され、副会長ナサン・チャーンズがその役職を引き継いだ。
2026年2月19日付のPGA声明では「残任期間中はメンバーファースト優先業務に専念する」とされ、事実上の役割大幅縮小となった。
代理出席はナサン・チャーンズ副会長+テリー・クラークCEO
レア会長の欠席に伴い、PGAチャンピオンシップ前日の公式記者会見には以下の3人が出席する見通し。
| 役職 | 氏名 | 役割 |
|---|---|---|
| 副会長 | ナサン・チャーンズ | 会長代行として出席 |
| CEO | テリー・クラーク | 大会経営面の説明 |
| 最高大会責任者 | ケリー・ヘイ | 競技運営面の説明 |
「沈黙の8ヶ月」:ライダーカップ後の動向
レア会長は2025年10月のライダーカップ騒動以降、公の場での発言をほぼ封じられた状態となっている。ライダーカップ期間中の発言とその後の対応が問題視され、PGAツアー側が彼の役職権限を実質的に停止する形となった。ジオフ・シャケルフォード氏(The Quadrilateral)が初報した2025年11月のPGAツアー理事会からの除名は、現職PGA会長としては前例のない処分。
2024年就任時の経緯:審判出身の異色会長
ドン・レアは2020年にPGAセクレタリー、2022年に副会長を経て2024年会長に就任。サウスウェストPGAセクション所属で、2016〜2019年にPGA全米理事会のメンバーを務めた。経営するオーガスタ・ランチGCはアリゾナ州ベスト・エグゼクティブコースに選ばれ、アリゾナ女性ゴルフ協会から「年間最優秀ホストクラブ」に選定されるなど、地元ゴルフ振興でも実績を残してきた人物。
2026年9月にはオランダで初開催される女子PGAカップで米国チーム監督を務める予定で、こちらの役職は維持されている。
第108回PGAチャンピオンシップ大会概要
- 会期:2026年5月11日〜17日(決勝R5/17)
- 会場:アロニミンクGC(米ペンシルベニア州ニュータウンスクエア)
- 過去開催:1962年(ゲーリー・プレーヤー優勝)以来64年ぶり
- 大会ディレクター:ジャッキー・エンズリー
- 動員予測:20万人以上
- 特筆事項:米国建国250周年と重なる記念大会
専門家の見方:「異例事態だが大会自体への影響は限定的」
米ゴルフ業界専門家の見立てでは、現職会長のメジャー欠席は異例中の異例であるものの、競技運営面ではチーフ・チャンピオンシップ・オフィサーのケリー・ヘイが長年にわたり実務を牽引してきたため、大会クオリティへの影響は限定的と見られる。むしろ注目すべきは、2026年11月のPGA会長選でレア後継として誰が選出されるか — おそらく副会長ナサン・チャーンズが最有力候補となる流れだ。
松山英樹・選手側にも影響なし
大会の有力出場者である松山英樹、ローリー・マキロイ、スコッティ・シェフラー、ザンダー・シャウフェレらは、PGAチャンピオンシップ会場入りに向けすでに調整中。会長の欠席は競技そのものには直接影響しないが、米ゴルフ界のガバナンス面の脆さを改めて浮き彫りにした出来事と言える。
まとめ:64年ぶりメジャーに影差す内紛、それでも大会は動く
1962年以来64年ぶりのアロニミンクでのPGAチャンピオンシップ、しかも米国建国250周年という記念碑的なタイミングで、現職PGA会長が異例の欠席。2025年ライダーカップ騒動が依然として尾を引く状況だが、競技運営は通常通り進む見込み。5月17日、メジャー第2戦の頂点に立つのは誰か — そして、PGA・オブ・アメリカが新たなリーダーシップ体制をどう構築するか — 今夏のゴルフ界の最大の注目点となる。