2026年6月18〜21日、全米オープン選手権がニューヨーク州サウサンプトンのシネコック・ヒルズで開幕する。注目は世界ランキング1位のスコッティ・シェフラー——唯一の「グランドスラム未完成メジャー優勝者」として、最後のピースを求めてリンクスの丘に立つ。そして最終ラウンド当日は、奇しくも彼の30歳の誕生日にあたる。
6月21日:誕生日プレゼントはグランドスラム達成か
シネコック・ヒルズでの最終ラウンドが予定される6月21日は、スコッティ・シェフラーの30回目の誕生日だ。マスターズ2022・2024年優勝、全英オープン2025年優勝、全米プロゴルフ選手権2025年優勝と、すでに4つのメジャータイトルを手にしているシェフラーに、最後に残った全米オープンのトロフィーが届けられれば、まさに最高の誕生日プレゼントとなる。
「30歳を超えてもずっと競争し続けたい」とシェフラーは以前のインタビューで語っている。その言葉通り、2025年シーズンだけで全英・全米プロを制した彼は、今や「最後の1勝」に向けて静かに的を絞っている。
開催地:シネコック・ヒルズ・ゴルフクラブ(ニューヨーク州サウサンプトン)
開催期間:2026年6月18日(木)〜21日(日)
開催回数:126回目、シネコック・ヒルズとしては6度目の開催
ディフェンディングチャンピオン:J.J.スポーン(2025年オークモント)
史上7人目——前人に続けるか
ゴルフの「キャリアグランドスラム」(マスターズ・全米オープン・全英オープン・全米プロの4大会すべてを制すること)を達成した選手は、長い歴史のなかでわずか6人しかいない。ジーン・サラゼン、ベン・ホーガン、ゲーリー・プレーヤー、ジャック・ニクラウス、タイガー・ウッズ——そして今年4月のマスターズ2026を連覇して偉業を達成したばかりのロリー・マキロイがその6人目となった。
シェフラーが全米オープンを制すれば、史上7人目のグランドスラム達成者となる。現在29歳(6月21日に30歳)という年齢を考えれば、今後さらに複数のメジャーを追加することも十分視野に入る。
| 選手名 | グランドスラム達成年 | メジャー通算勝利数 |
|---|---|---|
| ジーン・サラゼン | 1935年 | 7 |
| ベン・ホーガン | 1953年 | 9 |
| ゲーリー・プレーヤー | 1965年 | 9 |
| ジャック・ニクラウス | 1966年 | 18 |
| タイガー・ウッズ | 2000年 | 15 |
| ロリー・マキロイ | 2026年 | 7 |
| スコッティ・シェフラー | 2026年(達成なるか) | 4(現時点) |
シネコック・ヒルズとは——風と丘が作り出す試練の舞台
ニューヨーク州ロングアイランドの東端、大西洋を望む丘陵地に佇むシネコック・ヒルズ・ゴルフクラブは、1891年創設という米国最古の組織的ゴルフクラブの一つだ。英国風のリンクスレイアウトを持ち、強風・起伏・フェアウェイの速さが選手の技術と精神を等しく試す。過去の全米オープン開催を振り返ると、優勝スコアはパーかオーバーパーに近くなることが多い。
2018年に最後に開催された際(優勝:ブルックス・ケプカ)は、最終日に強風が吹き荒れて多くのスコアが崩壊。最終的には1オーバーの選手が2位に入るという歴史的難コンディションとなった。2026年の全米オープン委員会(USGA)も「難しすぎず、しかし決して甘くない」バランスを取ることを明言しているが、シネコックの本質は変わらない。
シェフラーの全米オープン成績——あと一歩の連続
シェフラーは過去の全米オープンで常に上位に食い込んでいながら、頂点には届いていない。直近では2023年ロサンゼルス・カントリークラブで2位、2024年パインハーストでも2位——いずれも「あと1打」という惜敗だ。5回のエントリーのうち4回でトップ10に入るという安定感を誇るが、全米オープン特有の「プレッシャーの中での逆境突破力」が問われてきた。
「全米オープンに毎回チャンスはある。でも優勝したことがないという感覚は正直ある」とシェフラーは今年初めのインタビューで率直に語った。それほど彼にとって、この大会は特別な意味を帯びている。
シェフラーの前に立ちはだかるのはオークモントで劇的な逆転優勝を飾ったJ.J.スポーン(米国)を筆頭に、トミー・フリートウッド(英国、28/1)、キャメロン・ヤング(米国、50/1)など実力者が揃う。さらに全米オープン2回優勝のブルックス・ケプカにとってもシネコックは愛称コースだ。
一方、マスターズ2026を連覇したロリー・マキロイはグランドスラム達成直後の精神的解放感がプラスに働くか、それとも1年で最も難しいコースに乗り込む緊張感で潰れるか——ベテランの心理戦にも注目したい。
日本選手の全米オープン出場展望
松山英樹は世界ランキング上位による出場権を確保済み。2011年に今大会のアマチュア最高位を記録して以来、15年越しの米国4大ナショナルオープン制覇を目指す。今週行われているキャデラック選手権でも好成績を狙っており、全米オープン前哨戦としての位置づけが高まっている。また中島啓太や比嘉一貴の予選突破も日本のゴルフファンには見逃せないポイントだ。
開催まで約2カ月——シェフラーのスケジュール管理が鍵
全米オープンまで約7週間。シェフラーには「トーナメントに出すぎて疲弊しないか」という懸念もある。英国メディアは「シェフラーはシネコック・ヒルズ前に少なくとも1〜2大会のスキップが必要」と指摘しているが、シグネチャーイベント出場義務も絡む複雑な事情がある。体調管理と試合勘の両立——これも2026年全米オープンの見えない主役だ。