2026年5月17日(日本時間18日)、ペンシルベニア州のアロニミンクGCで幕を閉じた2026年全米プロゴルフ選手権。
優勝したのはイングランドのアーロン・レイ(31歳)。最終日65をマークし、通算9アンダーで3打差の完勝だった。
しかし注目すべきはスコアだけではない。7年前のドライバー・両手グローブ・アイアンカバーというユニークなセッティングが世界中で話題になっている。
今回はレイの優勝バッグ(WITB:What's In the Bag)を全クラブ徹底解説する。
レイの優勝セッティング 3大ポイント
1. ドライバーは2019年モデルの「TaylorMade M6」──スポンサーなしで7年使い続けた愛器
2. 両手にグローブを着用──ツアーでは異例のスタイル
3. アイアンにヘッドカバー装着──独自のシャフト保護へのこだわり
クラブ全14本 一覧表
| 番手 | クラブ名 | スペック | シャフト |
|---|---|---|---|
| ドライバー | TaylorMade M6 | 9°(2019年モデル) | Aldila Synergy Blue 70 TX |
| 3W | TaylorMade Qi10 | 15° | Fujikura Ventus Blue 8 X |
| 5W | TaylorMade Qi10 | 18° | Fujikura Ventus TR Blue 8 X |
| ユーティリティ | Titleist GT2 | 24° / D1 SureFit | Mitsubishi Tensei CK Pro White Hybrid 90 TX |
| 5〜9番I | TaylorMade P7TW | ヘッドカバー装着 | True Temper Dynamic Gold S300 |
| ウェッジ① | Titleist Vokey SM9 | 詳細非公開 | Dynamic Gold Tour Issue S400 |
| ウェッジ② | Titleist Vokey SM11 | 詳細非公開 | Dynamic Gold Tour Issue S400 |
| ウェッジ③ | Vokey WedgeWorks | 60° | Dynamic Gold Tour Issue S400 |
| パター | Odyssey(詳細非公開) | — | — |
ドライバー:2019年製 TaylorMade M6(9°)
最大の話題はドライバーだ。レイが使用したのは2019年発売の「TaylorMade M6」。ツアープロが毎年最新モデルに乗り換えるなか、7年前のドライバーで全米プロを制した。
スペックはロフト9°、シャフトはAldila Synergy Blue 70 TX。
レイはどのメーカーとも用具スポンサー契約を結んでいない「フリーエージェント」。自分が信頼するクラブを自由に選べる立場が、この選択を可能にした。
「このドライバーは自分のスウィングに完璧に合っている。最新モデルに変える理由が見つからない」というのがレイのスタンスだ。
最新技術よりも「自分に合った道具への信頼」を選んだ姿勢は、アマチュアゴルファーへのメッセージとも言えるだろう。
フェアウェイウッド:TaylorMade Qi10
3Wと5WはともにTaylorMade Qi10。ドライバーとは対照的に、こちらは最新(2024年)モデルを採用している。
3W(15°)はFujikura Ventus Blue 8 X、5W(18°)はVentus TR Blue 8 X。
ドライバーとの「古い×新しい」のコントラストが、レイのクラブ選びに対する実用主義的な姿勢を物語っている。
アイアン:TaylorMade P7TW + ヘッドカバー
アイアンはTaylorMade P7TW(5〜9番)。タイガー・ウッズのシグネチャーモデルとして知られる鍛造マッスルバックだ。
シャフトはTrue Temper Dynamic Gold S300。ツアーで最も信頼されるスチールシャフトを選んだ。
そしてレイの大きな特徴がアイアンへのヘッドカバー装着。
プロツアーでこれほど徹底してアイアンをカバーするプレーヤーは極めて珍しい。シャフトへのダメージを最小限に抑えるためのこだわりで、クラブへの丁寧な扱いが随所に見られる。
ウェッジ:Titleist Vokey SM9 / SM11
ウェッジはTitleist Vokey SM9、SM11、そしてカスタムのWedgeWorks 60°の3本構成。
シャフトはいずれもDynamic Gold Tour Issue S400。重さ・剛性ともにハードなセッティングだ。
アロニミンクGCは砲台グリーンが多く、短いアプローチの精度が問われるコース。
最終日17番での68フィートのバーディーパットを含め、スコアリングゾーンでの正確なアプローチが優勝を引き寄せた。
「両手グローブ」という独自スタイル
レイのプレースタイルで最も目を引くのが両手グローブだ。
通常、右打ちゴルファーは左手のみにグローブを着用するが、レイは右手にも着用する。
右手のグローブは主にグリップの一定性と汗対策が目的とされる。
ツアーで両手グローブのプレーヤーはごく少数だが、レイは長年このスタイルを貫いてきた。「自分に合った方法が最善」というシンプルな信念の表れだ。
用具スポンサーなし・7年前のドライバー・両手グローブ・アイアンカバー──。
慣習に縛られない「自分流」が、メジャー制覇への近道だったのかもしれない。
アーロン・レイ プロフィール
生年月日:1994年10月6日(31歳)/ 出身:イングランド・ウォルバーハンプトン
世界ランキング:15位(PGA Championship後、44位→15位へジャンプ)
主な戦歴:2024年Wyndham Championship優勝、2026年PGA Championship優勝(初メジャー)
獲得賞金:3,690,000ドル(PGA Championship優勝)
ゴルファーの声
「7年前のドライバーで全米プロを取ったのは衝撃だった。自分も中古のM6が気になってきた。やっぱり合うクラブを使い続けるのが正解なのかも。」
「両手グローブって変なのかと思ってたけど、プロでもやってる人いるんですね。自分も右手がすべって困ってたから試してみようかな。」
「P7TWはタイガーモデルで扱いが難しいイメージがあったけど、レイが使うことで少し身近に感じた。アイアンカバーの習慣、自分も取り入れてみようと思う。」
まとめ:道具選びに「正解」はない
アーロン・レイの優勝バッグが証明したのは、「道具選びに王道はない」ということだ。
7年落ちのドライバー、異例の両手グローブ、アイアンカバー──。
どれも一般的なツアープロのイメージとは異なるが、それがレイにとっての最適解だった。
スポンサーという制約なく自分の信じるクラブを使い続け、メジャー初優勝を達成した。
「最新モデルより、自分に合った道具を」という視点は、アマチュアゴルファーにも大きなヒントを与えてくれる。
「7年前のM6でメジャー取ったのはマジで驚いた。自分もドライバー買い替えようか迷ってたけど、合ってる道具はとことん使い続けるのもアリだなと思ったよ。ただ俺のスコア88で同じことやっても効果は知らん(笑)」